声をくれた君に



「これは以前櫻田に黒板で解かせた難問だ」

小田さんは一瞬にして顔色を悪くした。

「お前は櫻田にノートを写されたと言っていたが

どうして写された側のお前がこの問題を解けないんだ?」

「た、たまたまあの時は解けたんです!」

小田さんは涙目になりながら反論した。

「お前は数学を知らないのか」

「は?」

「数学の問題ってのは、はじめて解いて一回で正解した問題を解けなくなることはないんだ。

計算ミスはあるとしても、一文字も書けないってことは絶対にない」

「そんな適当なこと言わないでください」

「とりあえず席に戻れ。

詳しいことはあとで聞くから職員室に来なさい。

櫻田も、戻れ」

私たちは先生に促されるまま席に戻った。

佐野くんは私に尋ねた。

「俺は嘘をついたか?」

私はぶんぶんと首を横に振って見せた。

(佐野くんは私を守ってくれる。

だから怖くないんだ)

私は佐野くんにピースサインを向けた。