声をくれた君に



「櫻田、小田、前に出てこい」

「な、なんですか?」

小田さんも驚いているようだった。

私たちふたりはとりあえず前に出た。

「これから俺が黒板に問題を書く。

ふたりともノートも教科書も見ずにそれを同時に解いてくれ」

「え…」

小田さんは慌てているように見えた。

「じゃあ後ろを向いて」

問題は書き終わるまで私たちにはわからないようだ。

私は佐野くんの方を見た。

すると彼は私に小さくピースサインを送った。

彼の無表情に似合わないピースサインに、笑いそうになったのをこらえた。

(佐野くんはいつも私を助けてくれた。

大丈夫、私は佐野くんを信じる…)

「じゃあ問題書き終わったからふたりとも後ろを向いて」

私たちは同時に振り返った。

そして目を見張った。

(この問題…)

私はチョークを握ってすぐに解き始めた。

横目で見ると、小田さんは固まっているように見えた。

(佐野くんはやっぱすごいや…)

私はすべての数式を書き終え、先生の方を見た。

「正解だ」

クラスからは思わず”おー”という声が上がっていた。

「小田、この問題が何の問題かわかるか?」

先生は小田さんに聞いた。

「知りませんよ…」