声をくれた君に



「先生、また櫻田さんにノート写されましたー!」

小田さんは先生に口を膨らませて見せた。

(でも、大人はこんなのに騙されちゃうんだよね)

しかし、先生は以前とは少し違った。

「本当なのか?」

私は首を横に振った。

「違うそうだ」

「でも私のノート、櫻田さんの机の上にあります」

「小田が置いたんじゃないのか?」

(ウソ…

真っ先に私を疑わない…)

でもそれは、ほんの気休めにもならなかった。

「先生は私を疑うんですか?」

小田さんは目を潤ませた。

「そ、それは…」

(はあ、そんな簡単に変わるわけないか)

さらに小田さんの後ろの席の女子が口を挟んだ。

「私、櫻田さんが小田さんのノート写してるところ見ましたー」

「俺も!」

「私も!」

(そうだ、根本的なことは何も変わっていない。

クラスのみんなは私の敵で、人数には絶対勝てない…)

私はぎゅっと唇を噛みしめた。

そんなとき、もうひとり、先生を呼んだ生徒がいた。

「先生」

佐野くんだった。

(佐野くん…?)

彼は立ち上がって、先生の元に向かった。

そして何やら耳打ちした。

「お、おう、わかった」

先生は何やらタジタジな様子で私たちの方を見据えた。