声をくれた君に



「お母さん!私…!」

私の目に飛び込んできたのは、

目を閉じて動かないお母さんと

お母さんの手を握ったまま声をあげて泣くお父さんと

立ち去ろうとしているお医者さんの姿だった。

「お母さん…?」

私はお母さんの側に駆けつけ、体を何度も揺すった。

「ねえ、お母さん聞こえるよね?

いつもみたいに言ってよ

来てくれてありがとうって

嬉しいよって言ってよ!

珠李って名前呼んでよ!!」

お母さんは穏やかな表情を動かさなかった。

「ねえ、お母さん、お母さんってば!

ちゃんと聞いてよ!

まだ…まだ生きててよ、笑っててよ

ねえ、お母さん…」

私が最期に言った彼女への言葉。

『今すぐ私の前から消えていなくなれ!』

傷つけたままお母さんは死んじゃったんだ…

私だって、ありがとうって

お母さんに会えて嬉しいって

言えなかった…

お母さんを傷つけただけの声

そんな声ならいらない…


次の日から、私は声を出すことをやめた。ーー