声をくれた君に



その日の数学の時間、私は佐野くんからもらった教科書を開いていた。

いつも以上にやる気が出るような気がした。

(私って結構単純…)

いつもクラスのみんなや先生はくだらないって見下していた私だけど

こんなことでやる気出してる私だって十分くだらない。

(それでも、いっか)

授業中、ページをめくっているうちに、私は紙が挟まっていることに気付いた。

そこに書かれているのはメールのアドレスだった。

そしてその下に

”俺のだ”

たった3文字そう書いてあった。

(佐野くんのアドレス…ってことだよね?)

私は彼に確認するように目の前の背中を見つめた。

そしてもうひとつ気になることがあった。

”俺のだ”の隣に描かれた謎の絵。

(猫…にも見えるし、虎にも見えるし…

いや、もしかして熊かも???)

何の絵にしろ、幼稚園児が描いたようなお世辞にも上手とは言えない絵だ。

(やばい、よく見てみると結構おもしろい…)

私はその日初めて授業中に笑いをこらえた。