声をくれた君に



次の日、私はなんとか学校まで足を運んだ。

そして、学校に着くなり驚いた。

(机がある…)

ここ最近はじめてのことだ。

(机を隠すのはもう飽きたのかな?

隠す場所がなかったとか…)

たぶんそんなことだろう。

それなのに、不覚にも喜んでしまった。

だからといって期待してはいけない。

きっと彼らはまた新しい遊びを見つけて楽しむんだから。

昨日までにされてきた予想外の出来事。

私がいじめられ続けることに変わりはない。

私は小さくため息をついて椅子に座った。

すると、目の前の長い胴体がこちらを向く。

(佐野くん…?)

彼は私の目の前に一冊の本を置いた。

数学の教科書だった。

「やる」

(え…)

私は突然すぎて、再び何も反応できなかった。

「名前、見て」

とりあえず言われた通り教科書をひっくり返して名前の記入欄を見ると

あまりきれいではない字で”佐野拓梓”と書かれていた。

(確か佐野くんの下の名前は”悠梓”だったはず…)

「1個上の兄貴が去年使ってたやつ。

昨日たまたま見つけた」

(たまたま…見つかるものなのかな)