声をくれた君に



授業後、私は数学の先生に職員室に呼ばれていた。

「どうして小田の教科書とったりなんかしたんだ」

私は首を縦にも横にも振らず、先生と目も合わせなかった。

「何か言いたいことがあるならここに書きなさい」

先生はしゃべることのできない私にメモ帳とペンを渡した。

でも言いたいことなんてない。

そもそも何から言えばいいかなんてわからない。

いじめられていること?教科書を捨てられたこと?

もう面倒だ。

先生は何も書かない私を見て勝手に話を進めた。

「もしかして教科書忘れたのか?

小田に教科書借りようとしただけなのか?

なるほど、声が出ないから無断で借りてしまったんだな」

先生はそう言って勝手に納得しはじめた。

(全然違うんだけど…)

「確かにお前は声が出せなくて大変だと思う。

でもメモを渡すとか何か方法があっただろ?

小田さんを誤解させるようなことは以後しないように、いいな?」

頷いてすらいない私に次々と話を進める。

私の話を聞く気なんてなかったんだ。

問題にならないように、平和に片づけようとしてるんだ。

この先生もやっぱり担任と同じ。

自分のことしか考えない自分勝手な先生。