声をくれた君に



次の日、私は学校に向かいながら頭を悩ませていた。

(昨日数学の教科書、机の中に忘れて帰っちゃった…)

高校生にもなれば、置き勉というものは当たり前なのだが

私の場合、教科書を無防備な状態にしてはいけない。

(せめて勉強だけは頑張ろうって思ってたのに

破かれたり捨てられたりしてたらどうしよう)

以前数学の授業で、先生に嘘つきのレッテルを張られたばかりだ。

(やっぱり私は変われないままなのかな)

学校につくと、私はすぐに机を探し始めた。

そして見つけると同時に、引き出しの中を確認した。

(やっぱりない…)

教科書はなくなっていた。

私はひとまずゴミ箱を覗いた。

そしてすぐに目に入った。

”櫻田珠李”の文字が書かれた数学の教科書。

切り刻まれて、捨てられていた。

私はその教科書をゴミ箱から拾い上げて立ち尽くした。

(これじゃあまともに授業も受けられない…

私が頑張ってもいいことって何なの?

私が学校に来る意味って何なの…)

いつからこんなに弱くなってしまったのだろう。

また泣きたくなってしまった。

そして彼の顔を思い浮かべてしまう。

(期待するな、ばか、私のばか)

そんな私に追い打ちをかけるように隣に誰かが立った。

佐野くんではない。

クラスの他の男子。