「もう、悠梓くんのばか、ばかばかばか!」
数時間後、私は悠梓くんの胸をポカポカと叩いていた。
「せっかく今日一日オフでのんびりしようと思ってたのに…!」
「あんたが誘うのが悪い」
「誘った覚えなんてないよー!」
腰を中心に、全身にダルさを感じる。
「満足そうな顔してたくせに」
「そ、それはまあ、そうだけど!」
彼には敵わないと観念し、私は抵抗をやめた。
すると、悠梓くんはそんな私の顔を覗き込んだ。
「海行こ?」
「え、今から?」
私は唐突すぎる彼からの誘いにポカンと口を開けた。
「うん」
「だってまだ3月だし…絶対寒いよ?」
「構わない」
(いやいや、私が構うから)
「行こ?」
「う、うん」
有無を言わせない強引さと
ちょっとだけ真剣な彼の表情に
私は少し戸惑いを覚えた。
