「その顔、そそるな」
恥ずかしさで目が潤んでくるのがわかる。
「悠梓くん、やめて…」
「ほんとにそう思ってる?」
(思ってるに、決まってるのに…
嫌じゃないって思ってる自分もいる…
もう、わけわかんない!)
悠梓くんはさらに顔を近づけた。
あと1センチで唇が触れ合う距離。
「あんたがやめてほしいって思ってるなら、俺はもうこれ以上何もしない」
悠梓くんが動かす唇は、触れそうで、決して触れることはない。
「どうしてほしい?」
(もう…意地悪!ドS!)
「あんたが教えてくれなきゃ、何もわからない」
「ウソ…
全部お見通しのくせに…」
「さあ」
(もう、こんなにも近いのに
もどかしい…焦れったい…)
「ほら、早く言えよ」
「……っ
キス…して?」
「してください」
「してください、早く…」
「よくできました」
その言葉と同時に、私と彼の距離は0センチに変わる。
「ん…」
「ま、キスだけで済ませるつもりもないけど」
「え…?
……ひゃっ」
