声をくれた君に



口いっぱいに広がる甘酸っぱいイチゴ味。

(この前もチョコレートくれたし、

佐野くんっていつもお菓子持ち歩いてるのかな?

甘いものが好きとか?)

声は低いし背は高くて大人びている彼なのに、やっぱり少し可愛く思えた。

これが彼の優しさなのか気まぐれなのかはわからない。

それでも、私が救われたことに変わりない。

一緒に掃除したときと同じ、心地よさ。

それに

『じゃ、また明日』

彼からその言葉を聞くのは3回目だった。

ただの彼の別れ際の口癖か何かだろう。

でも”また明日”って言葉が私には嬉しかった。

明日も学校に来ることが許されたような気がして。

明日学校に行く意味を見つけたような気がして。

確かに何も変わらない。

明日からもいつも通り机を隠されることからはじまって、放課後まで何されるかわからなくて

それでもいつか、いつの日か

変われるような気がしたんだ。