「ただいま」

「あ、おかえりなさい」

しばらくして、悠梓くんもシャワーから戻ってきた。

悠梓くんの方を見上げると

「わわっ」

彼は上半身裸だった。

「は、早く服着てよ、もう!」

そう言う私に耳を傾けず、どんどん近づいてくる。

そのまま私の前でしゃがんで、私の顎をくいっと持ち上げた。

「…俺のキモチ、わかった?」

「え…?」

まだ少し湿った髪の毛。

シャンプーの香り。

骨ばった肩。

(ドキドキじゃ済まされない…

なんかもう、心臓壊れそう…)

「今、どんなキモチ?」

「どんなって…

言い表せないくらい心臓ドキドキしてて

なんかもうおかしくなっちゃいそう…」

「せーかい」

「え…?」

悠梓くんは、手に持っていたシャツを羽織った。

「それがさっきの俺のキモチ。

あんた、俺と同じことしてたんだからな」

「ぜ、全然ちがうよ!」

「ったく、まだわからないのか?

もう一回同じことしてほしい?」

「い、いいです、結構です!」

「はいはい」

彼は私の頭をポンポンと優しく撫でた。