「悠梓くん、シャワーありがとう」
「うん」
悠梓くんは、読んでいた雑誌から、私へと視線を移した。
「……っ!」
そして私を見て目を見張った。
「? 悠梓くん?」
私は小さく首を傾げた。
「あんた、誘ってんの?」
「え?」
「…なわけないよな、はあ」
私は悠梓くんのところに行って、目の前でちょこんと座った。
「どうしたの、悠梓くん?」
見ると、彼は耳を真っ赤にしていた。
下を向いているせいで、表情はよくわからない。
「おい、あんま近寄るな」
「どうして?」
悠梓くんは、はあ、とため息をついた。
「…あんた、押し倒されたいの?」
「…ええっ?!」
私は驚いた反動でその場に尻もちをついてしまう。
「さっきから俺のこと誘いすぎ。
ちょっとは俺のキモチ、わかるようになれよ」
「そんなの、悠梓くんじゃないからわかんないよ…」
「まあ、あんた鈍いからな」
そう言って彼は立ち上がった。
「シャワー浴びてくる」
「うん、いってらっしゃい…」
私はしばらくその場から動けなかった。
