「ん、入れよ」

家に着くと、悠梓くんは私に玄関の扉を開けてくれた。

「ありがと。

お、お邪魔します…」

「うちには誰もいないから、構えなくていい」

「あ、そうなんだ」

(別に構えてたつもりは…)

玄関で靴を脱ぎ、リビングへと進んだ。

(ここが佐野家…)

ここで毎日悠梓くんが生活してると思うと、やっぱり緊張する。

「とりあえず、シャワー浴びないと風邪ひく。

風呂場行くぞ」

「うん」

さらに奥へと進み、脱衣所に来た。

「タオル、これ使っていいから。

あと、シャワー浴びた後はこれ着て。

俺のパジャマ」

そう言ってグレーのスウェットを渡される。

「ありがとう」

そのまま、会話が途切れた。

「えーっと…、シャワー借りてもいいんだよね?」

「うん」

「…私、服脱ぐんだけど」

「早く脱げば?

見ててやる」

「ええっ?!」

「まだ?

俺も風邪ひきそうなんだけど」

(いやいや、いやいやいや!)