声をくれた君に



「寒くないか?」

「うん…っくしゅん」

「言ったそばからだな…

タオルとかあるか?」

「うん」

私がカバンからタオルを取り出すと、悠梓くんはそれを取り上げた。

「貸せ」

悠梓くんは私の髪の毛をガシガシとタオルで拭いた。

「じ、自分でできるよ」

「いいから、じっとしとけ」

「…うん、ありがとう」

私はおとなしく拭かれることにした。

(なんか、結構照れくさい…)

そのあと、濡れた服も丁寧に拭いていってくれる。

「ほら」

「ありがとう。

じゃあ悠梓くんのことは私が拭くね」

「いや、それはいい」

「え、そんなの不平等だよ」

「それでもいい」

「いいからいいから」

私は無理やり悠梓くんからタオルを奪い取った。

そして、背伸びして、悠梓くんの頭をガシガシと拭いていく。

「…結構恥ずかしい」

「そうでしょ?

私だって恥ずかしかったんだから」

そう言って、ふと悠梓くんの方を見ると

(わ…)

思った以上に顔が近かった。

そして

チュッ

「…へっ?!」

悠梓くんにいきなりキスを落とされた。