傷つけただけの声だと思ってた。

お母さんに何もしてあげられなかったと思ってた。

でも、私の声が

お母さんの支えになっていた。

私の声を、好きだと言ってくれた。

お母さんが、誰よりも私の夢を応援してくれていた。

どこにいたって、聞いててくれる。

私の幸せを望んでくれている。

「お母さん…」

ボロボロとこぼれ落ちる涙。

(もう…さっき泣かないって決めたのに…

強くなるって、決めたばかりなのに…)

「お母さん…」

私は手紙をぎゅっと胸に抱きしめた。

(絶対、叶えるから…

いつだって、お母さんに聞こえるように

この声で、歌うから…

誰かを支えられるような、元気にできるような、勇気を与えられるような

そんな歌手になるからね…)

そして

ずっと笑っていよう

幸せになろう

お母さんの最初で最後の夢を叶えよう

そう固く決意した。