声をくれた君に



午前の授業が終わり、私はお弁当を取り出した。

もちろん一緒に食べる友達なんていない。

ひとりで食べるお弁当。

トイレで食べたりしたらきっとまた何か言われてしまうし、屋上は立ち入り禁止。

みんなに囲まれたこの自分の席で食べるしかないのだ。

そして何事もなく食べ終われる日はほとんどない。

(今日は何されるんだろう)

そんなことを考えながら食べるお弁当は、おいしいはずがなかった。

楽しくない授業、不安な休み時間、おいしくないお弁当

何一ついいことはない。

(それでも不登校になったりなんかしない。

泣いたりなんかしない)

負けず嫌いというよりは、ただの意地っ張りなのかもしれない。

(それでも、これ以上みんなの思い通りにはならない)

そう思ったとき、私の机に影がさした。

私の目の前に立っていたのは隣の席の小田さん。

彼女は私のお弁当を持ち上げた。

(この展開知ってる

ゴミ箱に捨てられるんだ)

何度か同じことをされたことがあった。

抵抗したっておもしろがられるだけ。

私は諦めてその場でおとなしくしていた。

すると、彼女は私の頭の上までお弁当を持ち上げ

そのままひっくり返した。

(え…)