声をくれた君に



「あんたは、ちゃんと夢があるだろ」

「…まあ、あるけど…」

(一度声を失って諦めたけど、

今は諦める理由なんてない…)

小さい頃からずっと変わらない、私の将来の夢。

「…あれ?

どうして悠梓くんが知ってるの?」

「さあ」

彼は意地悪に笑った。

「えー、気になるよ!」

「嫌だ。

あんたが思い出すまで俺は言わない」

「え、思い出す…?

私いつ悠梓くんに話したっけ?」

「だから、それを思い出せって言ってんだろ?」

「そうだけど…」

結局、その日の帰り道は、ずっとそのことで悩まされていた。

「じゃあ、またね!」

「ああ、また明日」

そうは言ったものの

(やっぱり気になる…)

「悠梓くん!」

私は悠梓くんを追いかけ、うしろからぎゅっと抱きついた。

「ねえ、悠梓くん、帰らないで…?」

「っ…!

コラ、その言い方やめろ」

彼は私の頭を小突いた。

「だめ?」

「…はぁ

だめなわけないだろ」

「やった」

私は彼に家に来てもらうことにした。

(きっと長い時間一緒にいれば聞きだせるはず!)