声をくれた君に



放課後、私たちはいつものように一緒に帰っていた。

「よかったな、仲良くなれて」

「うん!悠梓くんのおかげだね」

「俺は何もしていない」

「まあ、そうだね、ははっ」

今回彼はただ座っていただけだ。

(これがきっと、本当にモテるって意味だよね)

ただ、悩まされたことがひとつ。

「新学期初日からこんなもの渡すなんてありえない…」

「まあ、俺たち3年だからな」

先生に配られた進路調査表に頭を悩まされていた。

私の学校は特に進学校でもなく、

大学に行く人もいるが、就職したり、専門学校に行く人も多い。

「悠梓くんは大学に行くの?」

「いや、大学には行かない」

「頭いいのに?」

「俺は別にやりたいことがあるからな」

「え、書くこと決まってるの?!」

「一応な」

(そんな…!)

「ちなみに、聞いてよかったりするの?」

「別にいいけど」

「なんて書くの?」

「専門学校」

「なるほど…」

(専門学校に行くんだ…)