「席、また前後だね」
「まあ、櫻田と佐野だからな。
だいたい出席番号は前後だろ」
「でも今年は、私が前で、佐野くんがうしろだね」
「そうだな。
授業中うしろから、あんなことしたり、こんなことしたり…」
「な、何する気?!」
「ジョーダン」
「もう、怖くて前向けないよ!」
そんなやり取りをしていると、何人かの女子が悠梓くんの周りに集まってきた。
「佐野くん、だよね?」
「うん」
「私、去年隣のクラスだったの!」
「そう」
「私は隣の隣の隣のクラスだよ!」
「へえ」
(それはもはや近くのクラスでも何でもないんじゃ…)
「今年は同じクラスだね!」
「ああ」
「すっごく嬉しい!」
「俺は別に」
(あいかわらず言葉数少ない…)
が、そんな悠梓くんに対してあいかわらず女子たちはきゃっきゃ騒いでる。
(ていうか、悠梓くん、他のクラスの女子からも人気だったんだ。
さすが…)
そう思うと同時に、ちょっと不安になった。
(みんな可愛い…
悠梓くんに愛想尽かされるかも…!)
