声をくれた君に



次の日の朝。

「いってきまーす」

「忘れものないか?」

「うん、ないよ」

「お弁当は?」

「もったよ」

「教科書は?」

「ふふっ、教科書持たないで何しに行くのよ。

大丈夫だから、いってきます」

「ははっ、ついな。

うん、いってらっしゃい」

私はお父さんに見送られて家を出た。

(いってらっしゃいって言ってくれる人がいるのって嬉しいな。

でも心配しすぎでしょ、ふふっ)

「何ニヤついてんだよ、ばか珠李」

「あ、佐野くん!」

「やり直し」

「あ、そっか、悠梓くん!」

「合格」

悠梓くんは壁にもたれて、私を待っていてくれた。

「おはよう、悠梓くん」

「はよ」

「行こっか!」

「うん」

私たちは並んで歩き始めた。

「そのゆるゆるなほっぺた

上手くいったみたいだな」

「うん!

お父さんに電話したらね、飛んで帰ってきて…」

私はそれからの経緯を悠梓くんに話した。

「そっか、よかったな」

彼は私の頭をわしゃわしゃと撫でた。