声をくれた君に



「お前のお母さんが死んで、珠李の声が出なくなって

俺は同時に大事なものをふたつもなくしてしまった

そのことに絶望したんだ…

大好きだった奥さん、大好きだった娘の声。

一気になくなった。

情けないけど、耐えられなかったんだ…」

お父さんはボロボロ泣きながら続けた。

「だから…仕事に走った。

俺は現実から逃げたかった、辛いことを忘れたかった。

仕事ばかりして、頭の中をすべて仕事のことで埋め尽くした。

家に帰れなかったのは、

お前と、お前のお母さんとの思い出がたくさん詰まりすぎて

昔のことを思い出してしまうのが辛かったからだ…

本当にごめん…俺は最低だ…

許してくれなくてもいい。

俺はどんな罰だって受けるよ」

(そう…だったんだ…)

「私のことが、嫌いだからじゃないの…?」

私のその言葉にお父さんは目を見張った。

「そんなわけないだろ!

俺もお母さんも、お前のこと大好きにきまってるだろ!」

(お父さんも、お母さんも…

そっか、そうなんだ、よかった…)

私は思わずお父さんに抱きついた。