放課後、先生に日誌を提出すると、教室に戻って掃除ロッカーを開けた。

(よくこの中に机入れられたな)

つい関心してしまうほど、掃除ロッカーの中は狭い。

私はほうきを取り出して、教室の床を掃き始めた。

日直の最後の仕事。

ほとんどの人たちはこの仕事をサボるから、教室の床は汚い。

誰もいなくなった教室。

ほうきで掃く音がやけに響いた。

そんな時、ガラッと教室のドアが開く音がする。

(誰…?)

私はドアの方を見た。

入ってきたのは、佐野くんだった。

彼は教室に入るなり、おもむろに掃除ロッカーを開ける。

(もしかして、掃除までしてくれるの?)

彼は予想を裏切ることなく、静かに掃除をはじめた。

ほんと、何の気まぐれなんだろう。

けれど、何も聞かず、ただ黙々と掃除を続けた。

黒板に文字を書いたりなんかしたら、また”仕事を増やさないで”って言われるだけのような気がして。

彼は隅々まで綺麗にゴミを掃いてくれた。

(いつも気だるそうにしているのに、ちゃんと掃除してる…

綺麗好きなのかな?)