声をくれた君に



お父さんと電話をしてから一時間後。

玄関が勢いよく開く音がした。

「珠李!」

私は思わずソファから立ち上がった。

「お父さん…?」

リビングに駆け込んできたのは、久しぶりに見るお父さんの顔だった。

(ちょっと…痩せた?)

そんなことを思った私に構わず、力強く私の両肩を掴んだ。

「珠李、しゃべれるのか?!声が出るのか?!」

「う、うん、そうだよ?

今日出るようになったんだ…」

「そうか…」

お父さんはしばらく私の方を見ていた。

そして

「よかったぁ…」

彼は膝から崩れ落ちた。

「わ、お父さん!」

私もその勢いでその場に座り込んだ。

お父さんの顔を覗き込むと

泣いていた。

「え、お、お父さん?」

「珠李、ごめん、悪かった…」

お父さんは泣きながら私に謝った。

困惑している私をよそにお父さんは話し続けた。

「ごめん、ずっと家を空けて、ずっとひとりにして…

仕事ばっかりしてて、ごめん…」

お父さんは私の目を真っ直ぐに見た。