声をくれた君に


リビングのソファに座り、携帯を手に取る。

(お父さんに電話しよう…)

本当は、ちょっと怖い。

怒られるかもしれない。

電話に出てくれないかもしれない。

(でも、逃げてたら前に進めない)

私は悠梓くんのおかげで、どんどん前に進めた。

今度は

(自分の力で前に進む!)

私は発信ボタンを押した。

何回かのコールのあと、お父さんの携帯に繋がった。

「…もしもし?」

電話の向こうは一瞬沈黙があった。

けれど、すぐにお父さんの声が返ってきた。

「珠李…なのか?

珠李の声なのか?!」

「うん、そうだよ」

「珠李…嘘だろ…」

「仕事中だったよね、ごめん」

「いや、仕事はどうでもいいよ。

そうか…声出せるようになったのか…

そうか、そうなのか…

ちょっと待ってろ!」

そう言って電話は切れた。

(待ってろってどういう…?

でも、とりあえず電話には出てくれた…)

私はひとまず安心した。

そして待ってみることにした。