声をくれた君に



しばらくして、私たちはふたり一緒に家に帰りはじめた。

「家まで送る」

「うん、ありがとう」

私は素直に悠梓くんに甘えることにした。

「あのさ…」

「どうしたの?」

悠梓くんは遠慮がちに口を開いた。

「お父さんは…どうしてるんだ?」

私はもう迷わなかった。

(悠梓くんには何でも言えるんだから

そんな遠慮がちに聞かなくてもいいのに)

「お父さんは、すごく優しい人だった。

入院してるお母さんの代わりに、一生懸命私を育ててくれた。

それに、お母さんのこと大好きで…

絶対お母さんの悪口言わなかったんだ」

「うん」

悠梓くんは何も言わず私の話を聞いてくれた。

「だからだと思う。

お母さんが死んじゃってから、お父さん変わっちゃったんだ。

仕事しかしなくなっちゃったの。

私がお母さんに何もできなかったから

私がお母さんをたくさん傷つけたから

私のこと、許せないんだと思う。

家にも帰ってこない、ずっとビジネスホテルに泊まってる。

それくらい、お母さんのこと大好きだったんだと思う…」