声をくれた君に



放課後、私は悠梓くんと一緒にお墓参りに来ていた。

もちろん私のお母さんの。

近くのお花屋さんで買ったお花と、私の好物のチョコレートをお供えした。

「チョコレートはおかしくないか?」

「いいの。

おいしかったらなんでもよし!」

「なんだよそれ。

じゃあ俺も」

悠梓くんはポケットからチョコレートと飴玉を取り出してお供えした。

「悠梓くんこそおかしいよ、ふふっ」

「おいしかったらなんでもいいんだろ?」

「そうだよ。

悠梓くんは本当に甘いものが好きだよね」

「うるせ」

彼は私の頭を小さく小突いた。

「いいのかなー

彼女のお母さんの前でこんなことして」

(いつも意地悪されてるからちょっとくらい…)

そんな軽い気持ちで言ってみたのだが

「あ、やばい」

悠梓くんは背筋を伸ばし、真面目な顔で私の頭を撫で始めた。

「珠李はとてもいい子です」

(や、やばい…可愛すぎる…!)

私は思わず肩を揺らして笑ってしまった。

そのあともう一度小突かれてしまったのは言うまでもない。