私の周りにはたまたま誰もいなくて、私1人だった。 車の窓からひょっこり顔を出した椎名先生が、ニコッと優しい微笑みで声をかけてきた。 「平嶋さん、僕で良ければ話しくらい聞くからね。」 かけられた言葉に少し驚いて、でも嬉しくなって笑顔になった。 「はい!ありがとうございます。」 わざわざそれを伝える為に車、止めてくれたのかな? いつでも連絡しておいでね。 優しい低音ボイスで、そんな甘い言葉を残して、 先生はとても先生に似合った黒い車で走り去っていった。