愛を欲しがる優しい獣


第二会議室には監査部を始め、上層部の面々も集まっていて、事態の深刻さを窺わせた。

滅多にお目にかかれない豪華な面子と、重苦しい雰囲気にのまれそうになって息を吐く。

監査部の部長はポツンと一脚だけ置かれた椅子に座るように促した。

(まるで尋問だな)

いや、“まるで”というのは間違っている。

……これから始まるのは尋問以外の何物でもないからだ。

一脚だけ置かれた椅子を取り囲むように、その他の机が並べられているこの状況は意図的に作られたに決まっている。

「木下課長のことは聞いたかな」

「はい」

自分が呼ばれた理由を問い正したい気持ちをぐっと堪える。迂闊なことを口走れば墓穴を掘るのはこちらだ。監査部の出方を待つのが得策だろう。