「詩織のことか…
特別、だったのかはわからない

今、家出中なんでな」


『あの子のどこがいいのよ』



「どこがいいとかじゃなくて、ずっと探してたから
俺のペット」


『もういい!要のバカ‼︎
今から要のとこ行くからっ‼︎‼︎』


一方的に向こうから切った


「来られても、困るんだが…」


椅子から立ち上がって、隣にある詩織の部屋に入った


何の生活感もない部屋


詩織が寝ていたであろう、ベッドにそっと触れる


微かにする、甘い匂い


「詩織…」


ずっとあったものが無くなるのは、こんなにも辛いのか



「今日は、さすがに仕事やらなきゃな」



俺の心に空いた穴を埋めたい


詩織のベッドの横に座る


そして、顔だけベッドに埋める


この匂いが消える前に、詩織に会いに行こう