「ずっとずっと、お前のことが好きだった……!」
雨音が邪魔して、聞き間違えをしたのかと思った。
あまりにも信じられなくて。
何か別の意味があるんじゃないかと、掛川くんから聞いたことを頭で反芻する。
「前から、ずっと!俺がそよ香のこと知っていたのは、好きだったからで、声かける機会なくて見るだけだったけど、い、今なら大丈夫だと思って、その、と、ともかくも、好きなんだ」
言葉を出す度に、私の中の掛川弥代のイメージが変わっていくようだった。
物静かでクール。大人びいた印象を誰しもが掛川弥代に持っているだろう。
なのに、赤面しながらも、必死に思いを伝える“彼”は、誰も知らない。
私しか知らない一面。
言葉と掛け合わせれば、“彼”はそれほど本気であるのが分かって。
「俺と、付き合ってほしい」
憧れから身近な人へ。
手を伸ばせば、握ってくれる人に“彼”がなった時でもあった。


