私の隣で同じように空を見上げている“彼”に目配せをしーー目が合った。
視線を逸らす。な、なんで、こっち見ていたんだろう。
「なあ、春野」
「ど、どうかした?」
「こっち、向いてくれないか。目と目合わせなきゃならない用事がある」
どんな用事かは、想像もつかない。
でも、掛川くんがそう言うならと、向き合った。
本当に身長大きい。中学の時、バスケ部だったりしたのかな?
「……」
「掛川、くん?」
「……」
言葉が喉元まで出掛かっているのに、息を止めてでも出さないような素振りをしていた。
「あ、あの、だなっ」
噛んだ!
自覚した本人は、恥ずかしそうに明後日の方向向いてるし!
「春野ーーじゃない、そよ香!」
「は、はい!」
こちらも背筋が伸びるような声かけ後に、深呼吸。肺がはちきれんばかりに吸った空気を、ゆっくり吐き出しーーいつもの凛々しい顔つきで、私と目を合わせる。


