「たすけ……」
一人で抱え込むなら、助けを呼べ。
一人で解決しきれないからこそ、抱え込むんだから。
「助けて」
か細い声は躊躇いの証。自分一人で全てを解決しなければならないと、頼ることを恐れていた。
私なんか、誰も助けてくれない。
「助けて……!」
“そんな私ごと”、助けてくれた人がいた。
散りばめられた欠片が組み合わさっていくような。次第に思い出す。
『何かあったら、すぐに呼べ』
そう言った“彼”を。
「や、し……」
胸元の指輪を握り締める。
こうすれば、大丈夫だと思えた。
“彼”がついてくれると思えて。この指輪は“彼”が私にくれた物だから。
「やし、ろ……」
言葉の覚え初めのように、とつとつと声が漏れていく。連なり、“彼”との思い出も頭に染み出すようだ。


