葦の原に、白い花がついている。
綿毛ように点々と。吹く風になびく葦が、こちらだよと道案内でもしてくれているようだ。
「はっ、はっ、つぅ、はっ!」
息が止まりそうなほど、走った。
どこまで行けばいいかも分からないくせに、進む先に迷いはない。
“地獄の最果て”。
葦の原を抜けた先にあったのはーー崖だった。
「こ、ここ、が……」
肩を上下し、全貌を見る。
最果てとは、それ以上行くことが出来ないことをさす。
切り取られたかのようになくなった地面。
底の見えない黒が広がっている。
地球は丸いと知らなかった昔の人が書いた絵を思い出した。
あの絵では、平面の島から水が流れ落ちていた。
落ちた先を考えたこともなかったけど。
「落ちれば、違う世界に行く」
こことは違う場所へ。
落ちたものは戻らない。
彼とも、離れられる。
「ーー」
躊躇いは、チロの言葉を思い出して消え失せた。
次は、笑っていられる人生を。


