死が二人を分かつとも


「そよ香を守るのが俺の役目だって言ったのは、やっさんでしょうがぁ!」

彼の右腕ーー斧を持つ手に噛み付く、白い羽ばたきを見た。

「っ、邪魔するな!」

腕を振り払うだけで、小さな動物は振り飛ばされてしまう。けれども、葦の群生に体を傷つけられようが、羽ばたきは聞こえる。

「そよ香さんを守るやっさんが、そよ香さん傷付けようとしてーーそれなら誰が、そよ香さんを守るって言うんですかっ。やっさんからそよ香さんを守れる人なんかいない!やっさん以上に、そよ香さんを守れる人もいない!分かんないですか!そよ香さんを一番に愛してんのは、あんたなのに!」

彼の腕に噛み付くチロは、泣いていた。

「この、離れろ……!」

「いっーー、はなれる、訳には行きま……せん!やっさんが、“それ”をやったら、きっと全員泣いたままになっちまう!手前も、そよ香さんも、何よりもやっさんが一番悲しむのに!」

尚も噛み付くチロが、私に行けと言う。

「生まれ変わって!次は泣かない人生を過ごして下さい!」

「チロ……」

「行って!早く!」

後押しされ、涙を呑んで、彼から離れた。

そよ香と、手を伸ばされたが、チロが間に入る。

「生まれ変わったそよ香さんに、手前のこと覚えてほしいってのは無理な話なんでー」

走り出す、その刹那に。