(二)
痛みで我に返る。
まっさらなグラウンドかと思えば、葦の原。
擦りむいた膝から、転んだのかと半ば他人ごとのように思う。
心ここにあらず。
相変わらず、がらんどうな心だ。
「いか、なきゃ……」
自分が、どれだけ彼から離れられたのかは知らない。
また終着点を目指さなければ。彼が追いついてしまう。
「せっかく、離れたのに……これじゃあ」
また、彼が苦しむじゃないか。
『忘れていた方が良かったじゃ手遅れ』『そよ香が傷つく』
弥代くんがあれだけ秘密にしていた理由も、今なら分かる。
忘れていた方が幸せだった。
でも、私は良いとしても、弥代くんはどうなんだろう?
彼は、全部、覚えている。
私が、彼から死んでまで逃げたこともーー
「辛いのに、悲しいのに、なんで……」
私のそばにいられたの……?


