「よっ!今日もお盛んですなぁ」
「ったく、お前もか!なんなんだよ、ニヤついてこっちに来て気持ち悪ぃな」
「だって、手ぇつないで仲良く登校ですよ?小学生でもないのに」
「はぁ?……!」
寛兎はこっちを見ると、いきなり手を離した。
「いつからだよ!てかお前も嫌だったら言えよ」
…嫌じゃないよ。嫌なんかじゃないよ。うれしい。すごく、すっごく。でも、私は素直になんかなれないから毒を吐くんだ。
「はぁ?いつからって繋いできたのはそっちでしょ?しかもいきなり走りだしたから喋れないし。全く人のせいにすんのやめなさいよね。小学生じゃあるまいし」
「はぁ?んだと?」
「まぁまぁ、夫婦喧嘩は向こうでやってて、俺はバスに遅れるからもう行くな。じゃあな、お二人さんよ」
「マジか、こんな時間…遠回りしすぎた。よし、走るぞ」
ねぇ?さっき言われたのにまた私の右手をつかんで走るのはなんで?
期待、しちゃうよ。バカ。貴方にそんな気がない事くらい知ってるのに、胸が勝手にドクドク言うんだ。
