「それにしても不思議なことがありますね…」

「どうしたんですか?山南さん」


顎に手を当てて考え込む山南に総司が問う。

「仮に処刑の理由を紫音さんの裏切りとしてみると、今まで忠誠を誓っていた一族をたった一人の行為で皆殺しにしますかねぇ…」


その場にいる全員が紫音の方を向いた。



紫音はほんの一瞬、寂しそうな表情を浮かべ、自嘲ぎみに笑った。

「本当…頭のいい人です。………そう、山南さんの思う通りです。私の一族は私も知らない所で幕府に情報を流していました。」


「えっ…と、、どういうこと?」


「そうだよ。いくら平助でなくてもそれだけじゃ分かんないよ。」

「ちょっと、総司!?いくらなんでも酷いよ!?」



総司を睨み付ける平助と余裕の笑みの総司。

二人の間には軽く火花が散っている。


「はぁ…二人共うるさい。それに平助。どうもこうも、そのまんまの意味だよ。」


紫音は軽くため息をついて、母に教わったことを話してやる。