「もう、夜が明けます。では頼みましたよ。」 その言葉と同時に紫音の意識は遠退いていった。 「結局、あの子には辛い想いをさせてしまうわね。」 「紫音なら大丈夫ですよ、紫織さん。」 紫音の母、紫織と楓だけしかいない空間。 「じゃあ、俺は少し先に逝きます。あした、待ってますね。」 「そうね。さよなら、楓。」 紫織の言葉にふわりと笑って楓は白い空間に溶けるように消えた。 そして紫織も空間の真ん中に小さな小瓶と紙をおいて消えた。