「俺、は…確かに…紫、音を……愛して、た…」

さっきとは別人のように儚く笑う楓の胸に手をあて、紫音も微笑んだ。


「ありがと…



楓。さよなら」


「し、おん…っあ"あぁぁぁ―――っっ!!!!」


紫音が空間に閉じ込めた楓の炎で楓は命を散らした。


火の粉が消えたとき、もう楓の姿はなく、怖いくらいに美しい紫音がたたずんでいた。


「さよなら…楓。」


小さく呟いた紫音の声は誰にもとどくことなく、少しだけ楓の香りがする風と共に消えた。