「…私は魔力が弱いらしくて追い出されたの。
それから言葉がさっぱりわからなくて」

「勇者以外はいらないと」

魔導師の意識がこの女から外れたから魔法がとけたんだろうな。

「お金、みたいの貰ったんだけれどなんだか教えて貰えますか?」

「ああ、金貨だな。
10万円ほどた。」


にしても金貨1枚でほっぽりだすとは。


「そうですか、ありがとうございます」

「武器は持っていないのか?」

「武器は、ないですけど
私、これでも有段者なんです!
空手の大会では毎年1位なんですよ
合気道や柔道もやってましたし
だから頑張ってやっていきます

それでむこうの世界に送れる人を探すんです」


ほぅ…。
細いのにな…。


「言葉がわからないならどうしようもないな。」

「うっ、地道に勉強していくつもりです」

「まず無理だろうな。」

「うぅっ、ですよね。
なら森とかでひっそり暮らそうかな
田舎育ちだし…」

「ライオンや虎がわんさかいると考えたほうが良いぞ」

「ら、ライオン…」


真っ青になった女

なかなかいい女だな。
勇者にくらべれば


「死にたくないか?」

「当たり前です!」

威勢もいいな

「帰りたいか?」

「生きて帰ります!」


ふぅん。

でも…


「無理だな」

「何でですか!」

「まず、返送魔法が存在しない。
しても時間の調節は無理だろうな
生きていることが出来ても、帰ることはできない。」


「……………なら、探します。
魔法の勉強して、研究して魔法作って帰ります。」

「そ。」


自分で作るか

こいつなかなか図太い神経してんな


「言語理解の魔法かけてやるよ。
だからせいぜい頑張れ。」

頭に手をあてて、魔法をかけた。


「これで話せるし文字も読める。
良かったな?」


「え、え?あっ、ありがとうございます!!」