ぼくは地べたに這いつくばりながら、赤ずきんちゃんをかついでいる人間を追った。

そうしたら、そいつは分かれ道のところでもうひとりの人間と合流した。

もうひとりの人間もクマさんみたいな姿をしている。


「こいつ、すげぇ上玉だな……」


赤ずきんちゃんを下ろし、手首を縛ってそう言うひとりの人間は、赤ずきんちゃんのアゴを持ち上げて品定めをしていた。


「ぺっ!!」

銃を持っている人間さん。


だけど、やっぱり赤ずきんちゃんは赤ずきんちゃんだ。

どんな状況でもとっても気丈だ。

赤ずきんちゃんをさらおうとしている人間の顔に唾を飛ばした。


「うわっ、汚ねっ!! てめぇ!!」

唾をふっかけられ、怒った人間は、ただでさえ両手首を縛っている赤ずきんちゃんの腕を上げて押さえた。


「一回大人しくしてもらおうぜ」

にやりと笑ったもうひとりの人間も賛成したみたいに、赤ずきんちゃんの体を押さえ込む。


「離せよっ!! わたしに触るなっ!!」

腰をくねって反抗する赤ずきんちゃん。

だけど大の男に、しかもクマさんみたいに大柄な奴に両手足を掴まれているから抵抗さえもできない。


「威勢だけはいいじゃねぇか」