赤ずきんちゃんがいつもいじめられているぼくを助けてくれるのは、こうやってスリスリするため。


けっして、『ぼくを想っているから』とかじゃない。

彼女はただ、ぼくの『ふわもこ』が好きなだけなんだ……。


そう思うと、ものすごく胸がズキズキする。

手当てされる前の傷よりも、胸がずっと痛い。


だけど、そもそもぼくの好きっていう気持ちは、赤ずきんちゃんに抱いちゃいけないものだから、仕方ない。


泣き虫で何の役にも立たないぼくを、どうやっても赤ずきんちゃんが好きになってくれるわけはない。




ぼくが、勝手に赤ずきんちゃんを好きになっただけだ。


こうしてぼくは、赤ずきんちゃんには一生言えない言葉を胸に隠す。


そんな毎日がずっと続くと思っていた。


だけど事態はある日、急変した。