噂のアヤメちゃん

「そんな……っ!」




萌の顔が、みるみる内に白くなってゆく。




「葵がさ……言っていた噂、覚えてる?」


「確か……アヤメちゃんがどうこうって……」




頬に付いた涙を拭いながら、萌が言った。




「うん、"噂のアヤメちゃん"…」


「それが、どうかしたの……?」




不思議そうな表情で、私を見詰める。




こんな事を言うのはおかしいかもしれないけれど……。


こんな話、信じてくれないと思うけれど……。




「アヤメちゃんってね、幸せな人の前にしか現れないらしいの…。




私ね…アヤメちゃんに会っちゃったんだ………」


「え……?


それこそ、嘘でしょ………?た、ただの噂じゃないの………?」




うん…普通、そう思うよね……。


だけど…。




「本当、だよ…」




だって、私は確かに、アヤメちゃんに会った。


そして……。




「アヤメちゃんと、契約したんだ…」