噂のアヤメちゃん

こうなったら仕方ない。


私は、重い足取りで、葵と一緒に屋上まで行った。


その間は、無言で、とても気まずい空気だった。




屋上に着くと、秋の爽やかな風が吹いていて、開放感がある。


だけど、これから何が起こるのか…と考えてしまうと、


全く爽やかな気持ちになどなれない。




「朝にも言ったけど…。


やっぱりなつみ、アヤメちゃんに会ったでしょ?」




葵が、突然私に向かって言った。


ドクン、と心臓が飛び跳ね、また一瞬にして汗が噴き出す。




「な、なんの事……」


「とぼけないで!




なつみ、最近すっごい幸せそうだったもんね。


優しい家族、楽しい友達関係、大好きな彼氏…。


幸せな要素しかないもん…。




幸せだってことは、アヤメちゃんに会ってしまうって事でしょ…?」


「た、確かに噂通りならそうかもしれないけれど…。


でも、ただの噂でしょ!?


それに、私がアヤメちゃんに会った確証なんて…」