私は死にたくない。


でも、愛する人達を殺したくない。




だけど、契約を果たせば、その記憶も、その出来事も無かった事となるんだ。




そう、そうだよ。




何日間かは、つらい思いをするだろうけれど、


何日間かは、苦しいだろうけれど、




でも、全てが終わったらー……。




その事から、解放されるんだ…………。




じゃあ、答えは決まってる。




「契約……するわ」




震える声で、汗をだらだら掻きながら私はアヤメちゃんに言った。




にぃっと気持ち悪い笑みを浮かべて、アヤメちゃんは、




「明日から、毎日貴方は愛する人達を一人ずつ殺してゆくのよ…?


それでも、いいの………?」




と、私に訊いてきた。




「いっ、いいわ…」




私は、アヤメちゃんの気持ち悪い眼を見詰めながら、そう答えた。