「………ら…ってくれる…に」




掻き消えるかのような声で、ちなみがぼそぼそと小さく呟いた。




「あ?何て?


もう一度言いなさい、ちなみ!!」




私は、ちなみの前髪を引っ張り、脅すようにして言った。




「お母さんなら……ちなみの考えている事、分かってくれるのに……っ!


うぅ……!」




は………?


おかあ、さん……………?




「馬鹿ねぇ………お母さんなんか、もういないんだよ」


「え……?」




ちなみはピタリと泣き止み、不思議そうな顔をした。




「貴方の大好きなお母さんはねぇ……もう、いないのよ……!!


お父さんとは違う、別の男の人を好きになって、


そのせいでお父さんは狂っちゃって、


そんなお父さんを私が殺して、


その後にお母さんも殺した!!!




だから、お母さんもお父さんも、もういないんだよ!!!」