お母さんは、不倫していて…。


そのせいで、お父さんがおかしくなって……。


犯されそうになって………。




「何で家を空けているのかしらねぇ…。


あんなに家を空けると、やっぱ怪しいわよねぇ……」




実の娘の前で、そんな事まで言うか、このババア。


そりゃあ、確かにお母さんは不倫していたけど……。


何も、その本人の娘の前で言わなくてもいいじゃない。




やっぱり、このババアは苦手だ。




「あの……そろそろ………」


「嗚呼、ごめんね。


はい、ケーキ二つ」




そう言って、おばちゃんがケーキを私に渡した。




ケーキは一つで三百十円。


だから、私はちょうど六百二十円支払った。




「またおいでねー」




店を出る際、おばちゃんが笑顔で私に手を振った。




もう行くもんか。


心の中で、そう呟きながら、私はスタスタと早足で歩いた。