適当に選んだ服を着て、財布を持って、


私は家を出た。




久しぶりに、商店街に出た。




お肉屋さんでチラッとお肉が見えた瞬間、


口の中で、酸っぱい味が広がった。


皆を殺した……その後の死体を…思い出してしまったから…。




帰りは、なるべく見ないようにしないと…。




そう思いながら、私はケーキ屋に向かった。




「あら、久しぶりね、なつみちゃん」


「お久しぶりです…」




ケーキ屋さんに行くと、おばちゃんがいた。


このおばちゃんは、ケーキを作るのは上手なんだけど…、


お喋りだし、ちょっと失礼なところがあるから、苦手だ。




「ショートケーキ二つください」


「あいよ。


それはそうとさぁ……最近、なつみちゃんとこのお母さん、


家を空ける事が多いわよねぇ……大変ね、貴方も」


「は、はぁ……」




何とも言えない。


だって、本当に大変だったのだから。