「昨日な……お父さん見てしまったんだ……。


お母さんが……、男と抱き合っているところ………」




お、お母さんが!?


それって……不倫って事!??


そんな……うちのお母さんに限って!?




あの優しくて、怒った事なんかほとんどなくって、


私にも、ちなみにも、お父さんにだって優しい、あのお母さんだよ!?


そのお母さんが………不倫を!?




「もう……お父さん訳分からなくなってさぁ……。


駄目なんだ、もう……。


止められないんだ…………」




お父さんの手が、私の胸へと向かう。




そんな……。


確かに、お父さんは今、とっても悲しい気持ちだと思う。


お母さんに裏切られて……辛いと思う。


だからって……こんな、こんな事………!




「やめてっ!!」




私は、お父さんをドンッ!と押し退け、一階へ逃げる。




「待つんだ、なつみ…!」